ビジョンミーティング設計
ビジョンミーティング設計は、 主体的な個人同士、あるいは関係形成が進み始めた人たちが、 目指す方向や大切にしたい価値を言葉にし、共有していくための成果物です。
ここでいうビジョンミーティングは、 単に夢を語る場でも、 理想を並べる場でもありません。
目的は、 参加者それぞれの思いや価値観を持ち寄りながら、 「私たちはどこへ向かうのか」を、 場として見えてくる形にしていくことです。
そのためビジョンミーティング設計は、 「何を話すか」だけではなく、
- どのような問いを立てるか
- どのような順番で共有するか
- 個人の思いを、どう共同の方向性へ接続するか
までを含めて設計されます。
ビジョンミーティング設計とは
ビジョンミーティング設計とは、 複数人の場において、 個人の思いや価値観を、 共同体としての方向性へ接続していくための 場の設計です。
ここで重視するのは、 立派な言葉をつくることではありません。
大切なのは、
- 自分が何を大切にしているかを言葉にできること
- 他者が何を大切にしているかに触れられること
- 違いを含みながら共通する方向性を見いだせること
- 「私の思い」が「私たちの方向」へつながること
です。
つまりビジョンミーティングとは、 きれいなスローガンをつくる場ではなく、 共同体の方向性が立ち上がる場です。
何を目的にするのか
ビジョンミーティング設計の目的は、 場を盛り上げることでも、 耳ざわりのよい言葉をまとめることでもありません。
目的は、 参加者がそれぞれの思いや価値観を持ち寄り、 そこから共有可能な方向性を見いだしていくことです。
そのため、この場ではたとえば次のようなことを支えます。
- 自分にとって大切なものを言語化すること
- 何に違和感があり、何を目指したいのかを明確にすること
- 他者の思いや背景を理解すること
- 共通項と差異の両方を見ること
- 方向性を言葉として仮に置いてみること
つまり目的は、 全員を同じ考えにそろえることではなく、 共同体として進むための方向性の土台をつくることです。
何を設計するのか
ビジョンミーティング設計では、 単に「将来どうしたいですか」と尋ねる場をつくるのではありません。
設計するのは、たとえば次のようなことです。
ミーティングの目的
対象者
問いの設計
進行の流れ
進行者の立ち位置
場の安全性
つまりビジョンミーティング設計とは、 アイデア出しではなく、 方向性共有が起こるための場の構造設計です。
この場で重要なこと
ビジョンミーティング設計で特に重要なのは、 早く一つにまとめすぎないことです。
ビジョンの場では、 結論を急ぐと、
- 誰かの言葉だけが残りやすい
- 本当の違いが見えにくくなる
- 表面的な合意になりやすい
- あとで温度差が噴き出しやすい
といったことが起こりやすくなります。
そのためこの場では、
- 違いを消さないこと
- 個人の思いを十分に出せること
- 共通項を急ぎすぎずに見つけること
- 仮の方向性として言葉を置いてみること
が重要になります。
進行者は、 方向性を決める人ではなく、 方向性が立ち上がる条件を整える人である必要があります。
どのような現場で使えるか
ビジョンミーティング設計は、 さまざまな現場で活用できます。
たとえば、
- 実践コミュニティの方向性共有
- 新しいチームやプロジェクトの立ち上げ
- 教育コミュニティの価値共有
- 組織内の理念共有
- 共同体形成対話会の次段階
などです。
つまりこれは、 関係の土台が生まれたあと、 「私たちはどこへ向かうのか」を扱う必要がある現場で使える成果物です。
共同体形成対話会設計との違い
共同体形成対話会設計は、 主に関係の土台を育てることを目的とします。
一方、 ビジョンミーティング設計は、 その土台の上で、 方向性や価値を共有することを目的とします。
つまり、
です。
場の流れとしては連続していますが、 重心は異なります。
合意形成会議設計との違い
ここも重要です。
ビジョンミーティングは、 どこへ向かうかを共有する場です。
一方、 合意形成会議設計は、 共有された方向性をもとに、 何をどう進めるかを整える場です。
つまり、
です。
ビジョンミーティングでは、 まだ実行詳細を急がず、 共同体としての方向性を育てることが重要です。
実践コミュニティとの関係
ビジョンミーティング設計は、 自律共創実践コミュニティが 共同体形成の実践へ進むときの中核成果物のひとつです。
主体形成の循環があり、 関係の土台が生まれたあと、 その場がただ続くだけではなく、 どこへ向かうのかを共有する必要が出てきます。
そのときに、 個人の思いを共同の方向性へ接続するために、 ビジョンミーティングが必要になります。
つまりこの成果物は、 共同体形成を、方向性共有へ進めるための橋渡しです。
成果物として提供する意味
ビジョン共有の場は、 設計が曖昧だと、
- 理想論の発表会になりやすい
- 声の大きい人の方向性に引っ張られやすい
- きれいな言葉だけが残りやすい
- 実践とつながらないまま終わりやすい
といったことが起こりやすくなります。
そのためビジョンミーティングを、 その場の勢いやファシリテーターの感覚だけに任せるのではなく、 成果物として設計して提供することに意味があります。
これによって、 方向性共有の質と再現性を高めやすくなります。